posted on July 20, 1998
updated on Oct 12, 2000


モーター研究室スペシャル

シブヤトップサーキット
Mクラスワンメイク・ナイトレースレビュー

<優勝は大越さん、2位ふぇら〜り伊藤、3位はベンさんだけど・・・>
99年2月21日、渋谷・トップサーキットのナイトタイムにMクラスのワンメイク・レースが開催されました。

結果は上記のとおり、優勝は大越さん、次いで準優勝が私ことふぇら〜り伊藤、そして3位がベンさんこと 井上さんでした。レース開始直後にポールからスタートした大越さんのミスで多重クラッシュのアクシデントがあったものの、 結局は下位グリッドの人々に対するちょっとした ハンデ、という感じで、終わってみれば予選の順番通りの結果でした。しかも、1位と2位は16秒差 (コーナー2個分くらいの差でラップ遅れを免れた)、 2位と3位は2周差(ゴールの時、私はベンさんの真後ろでした)。 これはタイヤトラクションで根本的にモーターパワーが規制されてしまうMシャーシのレースとしてはかなりの大差といえましょう。

そもそも、予選のラップタイムがポールと4、5位あたりで既に1秒近く開いていました。
予選2番手の私とポール大越さんのタイム差も0.4秒程度開きましたが、これは素直に ライン取り=ウデの差が出たのでしょう。大越さんが私のクルマをドライブしてたら、きっと、もっと速かったハズ。

今回のレースの決め手は、やはりまずタイヤの選択にあったと思います。昼間は前後ファイバーモールドAで行けたようですが、 日が落ちた途端にどんどん路面温度が下がり、リヤがグリップしなくなっていきました。当然、タイヤウォーマーの有無は ドライバー間で大きな影響を与えましたし、フロント用にSグリップを用意してなかった人は痛い目に遭ったのではないでしょうか。

また、路面温度が高かった予選1回目のほうがタイムが出たので、2回目のアタックに賭けていた人は弱り目にたたり目状態でした。 大越さんや私自身の場合、予選2回目はほぼ0.2秒程度タイムが落ちていました。また、走っている間にも、 タイヤが暖まってくるまでの1、2分間は走り込むほどにタイムが伸びていました。

また、今回のレースは、寒中レースでありながら、比較的大パワーのモーター使用が認められていたため、 「適度なパワーをかけていればとりあえずスピンしない」というFFシャシーのアドバンテージが フルに表面化したのも印象的でした。実は、私は日ごろ、トラクション面で有利な(=低速コーナーが多いほど速い) M−02を愛用しているのですが、その私でさえ、敢えて今回、5ヶ月眠らせていたM−03をたたき起こして来たのは、 そういうわけです。とりあえず、レースは「走ってなんぼ」ですからね。久しぶりのレースでクルクル君では、悲しいですから。

<結局、どのモーターが速かったの?>
もうひとつのレースの決め手は、やはりモーターでしょう。

先だって、 モーター研究室 のほうでも、「Mシャシーレースのベストモーター」はどのモーターか? というテーマを取り上げていましたが、ひとつの結論としては、優勝した大越さんが使っていた 540スポーツチューン、ということになるのでしょうか。ちなみにピニオンは20Tです。

大越さんいわく、「ずーっとニギっていて、バッテリーは気にならなかった」とのこと。これに対して、 本来、効率で勝るはずのダイナランストック(ピニオン18T)を使用した私は、32周のレース中、常にバッテリーを 意識し、後半15周目〜30周目あたりは80%のドライブを心がけていたにもかかわらず、 最後の3周目あたりから明確なパワーダウンを感じていました。もちろん、すぐに停車、 というタレ方ではありませんでしたが、帰宅後、1Aで放電したバッテリー残量は473mAh。 「なんだ、まだ20%も残ってるじゃんかー」と思った方は甘いです。 通常、バッテリー残量が1割を切ると、ヨレヨレのスピードになって止まったも同然になります。 ウォーマーの電源に使うと、全然暖まらないレベルです。つまり、結構、ギリギリだったのです。

どうして、こんなことになったのか?
結局、低温下のフロントタイヤのトラクション不足で、タイヤの空転ロスが多く、 ハイギヤード(18T)でただでさえ負荷が大きいうえにモーターパワーがやたら空費された、ということなのでしょう。また、直線が速すぎて コーナーに突っ込み過ぎ、タイムロスしてたかも知れません。
自分ではそんなに酷いドライブしてたつもりはないのですが。

いずれにせよ、これらの点は当初から懸念していたのですが、 テスト不足でパッケージングのアンバランスが露呈した、ということなのでしょうか。
予選は16T、17Tを順番に使い、決勝は18Tと、タイヤの空転状況と直線の伸びを 探っていったのですが、タイム的にはほとんど差がなく、むしろ決勝は予選より心持ちタイムが悪化 したような気がするので、もしかしたら悪い方向へギヤ比設定が行ってしまった(スピード出過ぎ) のかも知れませんね。練習走行では、16Tではごくわずかトップスピードの伸びが他車に 負けていたので、ギヤ比は17T(18Tの穴に装着)にして、あとはアンプ側のカレントリミッタで燃費調節、というのがベストだったようですね。 次回はそうしてみましょう。

ただ、負けたから言うわけじゃないんですが、規定周回数内できちっとバッテリーをフルに 使いきれるモーター、という意味ではやはりダイナランストックだったと思います。自分のウデのせいで、 結果こそ出せませんでしたが、スポーツチューンは、ある意味、「これ以上どうしようもない」状態で あったことに疑問の余地はありません。F1モデルの場合のように、下手にダイナランとかスポチュン付けるより、 パワーをやや落としてジョンソンで走るほうがタイムが出しやすい(特に中級以下のドライバーの場合)、 といったことはMシャーシにも当てはまるのですが、それではもうひとつ次元の高いところで勝負することはできないわけで。

いずれにせよ、今回のレース結果ではっきりしたのは、予想通り、Mチューンモーターはスポーツチューンの敵になり得なかった、ということ。 腕の差もさることながら、スポチュンやダイナラン装着車より、1〜2周以上の遅れを取ったわけですから。 やはり、レース後半の熱ダレは、寒中といえど、いかんともしがたいものがあったようです。進角の付け方が甘かったのかも知れませんが。

(6/27/99後日談)この後、5月20日に開催されたナイトレースでは、エントリーしたM-03のほとんどがダイナランストック(ピニオンは20T!)を 選択したばかりか、40周レースの38周までトップを快走していた北澤ひでろ〜選手が ボールデフの緩みでリタイヤ、それを全力で追撃していた大越選手がほぼ同時に バッテリー切れでリタイヤし、はからずも一連の「M-03特集」でのふぇら〜り伊藤の主張が立証される 形となりました。

え? このレースで勝った人?・・・それは、もちろん、私ふぇら〜り伊藤でゴザイマス。えへん。

(この項おわり)

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