(posted on July 21, 2006)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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マツダ787B 完成ボディ仕様
(Item58357、定価15,000円(税別)、06年3月28日発送)

日本の自動車メーカーとして初めて、1991年にル・マン24時間レースで
総合優勝を果たした栄光のマシンが「マツダ787B」です。
タミヤでも91年11月に「レナウン・チャージ・マツダ787B'91ル・マン」(Item58102、14,000円)として
「ベンツC11」以来のCカーシャシーを流用して発売され、好評でしたが
あれから15年の歳月を経て、ファンの根強い要望に応えて復刻されたのが今回のキットです。



ギヤ比一覧表

モデラーズギャラリーやカスタマーサービスでの2001年以来の段階的なCカーボディの復刻再販を後追いする形で、 当初2005年9月の発売予定とアナウンスされていた当キットですが、都合により06年3月までズルズルと発売がズレ込んだ いわく付きのモデルです。787Bの指名買いで予約待ちしていた客も多かったようで、店頭に並べるまでもなく、予約客に回した だけでたちどころに在庫切れ、という店もありました。生産量は分かりませんが、入荷数は、人気の割にかなり限定的だったようです。

どうしてこんなことになったのか? 様々な要因があるようですが、ひとつ大きな要因となったのは、 この複雑なボディのマーキングだったようです。黒・銀・緑・蛍光レッドを塗り分けてステッカーを張る、というのは マスキングもかなり面倒で、だからこそ塗り完ボディがあったらゼヒ欲しい一品でもあったわけですが、 タミヤにしてみても、こんな面倒なボディを他のキットと同じ価格で塗りたくない、ってのが本音だったのではないかと思います。 商売ですから、コストに合わないモデルということで生産数を抑えてお茶を濁した可能性はあると思います。 実際、このキットだけ、定価が他より1000円高くなっていますよね。でも、メーカー側の取り分としては5〜600円程度しか上乗せ できてないわけで、手間を考えると、全然割が合ってないんだと思います。後述のように、一部のシール貼りを「セルフサービス」に するなど、随所にコストダウンの努力が伺われます。


「ベンツC11」の記事の繰り返しになりますが、Cカーシャシーというのは、ABS樹脂のバスタブにFRP/ポリカ樹脂製の サブフレーム、フロントサスアーム、ギヤボックスを組み合わせたコンポジットシャシーです。 メインシャシーとサブフレーム、バンパー&ボディマウントを除くと基本的にはCカーの前に発売された F1シャシー(後にF101と命名)と共通のパーツばかりなのですが、Tバーだけは違いました。F101よりも前後長が短くて 剛性が高め、Tバー取り付けビス位置=バッテリー位置も後退した設計です。このCカー用のTバー(板厚は公称1.5mm)は、後に「F102用」として F1シャシーにも流用され、92年3月発売の「マクラーレンMP4/6ホンダ(F102シャシー)」でデビューしました。
Cカーシャシーでは、ホイールベースをF1シャシー標準の260mmのほかに270mm、280mmと3段階に可変できるのですが、 ベンツC11(Item58088)、ジャガーXJR-12(58092)、ニッサンR91CP(58109)のホイールベースが280mmであるのに対して、 マツダ787BだけはCカーボディで唯一、270mmと短く、その分、鋭い回頭性が得られます。
F1用のF10x系シャシーのホイールベースは260mmですが、インディカー用のF103Lだけは280mmでした。素組みのF103Lはとてつもなく強固な アンダーステアでしたが、Cカーも基本的には似たようなキャラクターです。ただ、付属タイヤのコンパウンドがF1用のキット標準よりは 柔らかくグリップが高いので(後で出たF1用ブチルスポンジには劣りますが)、キット標準状態で比べると、アンダーステアはある程度軽くなっています。また、加工が必要になりますが、ツイックスクリューを追加すれば、かなりの改善が得られますので念のため。

重心位置が適切なら、20mm程度ホイールベースを延ばしても、ステアリング特性にはあまり影響が出ないハズなんですが、 CカーやF103Lでは、フロント側だけを延ばしている関係上、どうしても重心が極端にリヤに寄ってしまい、何も対策しない限りは、ホイールベースが伸びた分、操縦性も悪化してしまいます。
塗装の手順に迷いそうなカラーリングですが、実際には、ボディ上面のシルバーはステッカー仕上げで、あとは境界線として 「白の点線」をステッカーで最初に貼り込んでしまうと、それで塗り分けの線がハッキリしますから、 マスキングして塗り分けていけばいいわけです。ビン塗料の筆塗りならマスキング作業も一部不要になります。 先にステッカー貼ろうとすると、ボディの保護フィルムを剥がさなければならないので 善し悪しのある方法ですが・・・。
開封状態でのボディはこのようになっています。何となく完成しているような感じがするんですが、 実は、ウイングとボディの一部のマーキングが貼られていません。そういえばちょっと寂しい感じですよね?
このため、ステッカーは初版(58102)とは別で、このキットのために新しく作られたバージョンです。 基本的に、レナウン関係のロゴが集約されています・・・ということは、タバコ広告じゃないんですが、 版権許諾か何かの関係か?とも思ったのですが、製品紹介の写真にはちゃんとロゴも出ていますから、 版権には問題なくて(そりゃそうか)、 最低限の「作る楽しみの演出」+人件費コストダウン、というあたりの狙いなのでしょう。「半完成モデル」 というのはダイキャストモデルの「エンツォ・フェラーリ」等での実績もありますしね。
ボディ裏側はご覧のとおり。
ヘッドライト周りは自分でやるときいつも面倒に思う部分のひとつなので、初版よりたった1000円の価格アップで、 これだけビシっとボディが仕上げられていると、とても嬉しいです。腰の据わったモデラーさんからは 「そんな腑抜けたヤツは塗装なんてするんじゃねぇ!」とか言われちゃいそうなくらい軟弱な発言ですが、 その敷居の高さがユーザー獲得の障壁にもなってるわけで、ココはひとつご勘弁を・・・。


ボディー下端のカットライン回りの黒ステッカー張りもパーフェクトな仕上がり。





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