posted on Dec 17, 2004
updated on Feb 27, 2006
タミヤRC製品・即買いカタログ
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TRF411X


当ページがrcfan.netさんのTRF211X検証で 紹介されていました。ありがとうございます。
TRF211に興味ある方はチェックしてね!
少しでもよく見えるよう、写真をサイズアップしました(updated 2/27/2006)




2004年11月のタミヤGP・ワールドチャンピオン決定戦の横で開催されていた「タミヤフェア」会場内で、初めての試みとしてタミヤの歴代RCモデルの展示を行っていました。すべて市販モデルで、基本的には1980年代以前のクラシックモデルばかりだったのですが、そこにナゼか、ただ1台の試作車として、幻の四駆バギー「TRF411」がチョコっと展示されていたのです。 撮影条件が厳しく、良い写真が撮れなかったのですが、せっかくなのでマシン紹介ページとして独立したページを起こすことにしました。
さて、この411X、どういう経緯で作られたかというと、主にアメリカ市場向けに、もっとレース志向の強いモデルを作ってくれ、 という要望から、先行開発のための実戦テスト用に作られたものだそうです。1992年の話です。 したがってこのまま市販することは当初から考えれられてはいませんでした。 実戦テストは主にアメリカで行われ、いくつかレースに参加したそうです。 日本でも92年のJMRCA全日本に1台だけ参加したそうです。当時の雑誌記事をひも解けば出てくるだろうと思いますが、 大した戦果は上がっていなかったはずです。当時はまだ、残念ながら、ヒト、モノ、カネのあらゆる面において レースに取り組む体制が整っておらず、「タミヤ車では全日本でAメインに残れない」という状態でしたから・・・。
ただ、マシンの設計をつぶさに見ていくと、この開発で作られたパーツが後の各種キットに 随分転用されているんだなということが分かります。そのまんまのキットこそ出ませんでしたが、 411XのDNAはタミヤキットの随所に散りばめられている、というわけです。
例えば、当初からギヤボックスユニットは前後左右を入れ替え可能な2WD/4WD兼用設計となっており、 リヤアップライトと合わせて2WDキット 「ダイナストーム」「ダイナブラスター」のリヤ回りとして日の目を見ました。

また、同時に専用設計されたビッグコミュ+5×5mmビッグブラシモーターは「TRFチューン」として別売optに、 スクラブ半径を詰めた新設計のフロントアップライトはTA-02/FF-01/TA-03/TRF414Xに転用されたわけです。
TRFチューンモーターなんですが、コレが発売された93年12月という時期、既にバギーブームはとっくに廃れ、 ホンダ撤退でF1ブームも下火になるなか、ちょうど代わりにツーリングカーブームが大ブレイクし始めた時期でした。 そういう流れしか見ていなかった筆者のような人間にとっては、このような仕様のモーターが突然降って沸いたように リリースされたことに大変驚きと戸惑いを覚えたのでした。今回、そのへんを展示スタッフに率直にぶつけてみたところ、 何となく分かった気がしました。
要するに、「試作とはいえ、特別のモーターカン作るのに一定数のプレスをオーダーしちゃったから、そのコストを回収しなきゃ」ということだったわけです。市販さえすればそれなりに売れてしまうのがタミヤですからね。当時ツーリングカーGrAクラスはモーター無制限だったので、当然にこのモーターを使う人も出てきました。ただし実際のパフォーマンスはダイナテック02Hのoptのダブル10ターンには及ばなかったはずです。なので02H持ってる大多数の既存ユーザーにはあまりアピールしませんでした。 タミヤモーターの金字塔といえば聞こえはいいですが、機械巻きダブル12Tローターの製品として8000円という定価はかなり高価に感じました。
価格がアップしてしまったのは、専用設計のモーターカンだけでなく、エンドベルも削り出しだったからです。 こうした放熱性を追及する作り込みには、それなりに価値を感じましたが、「オブジェ」としてはサイコーなこうした設計も、本来はレースで使えなきゃ意味がない、ってことなんですよね。 惜しいです。

筆者は未確認なのですが、最近聞いたところによると、発売からほどなくしてIFMAR/JMRCAのルール改正でビッグブラシが禁止になったそうなんです。ホント? そういえば今どきビッグブラシのモーターって見ませんよねぇ。 おまけにタミヤGPでも規定変更があり、1シーズン限りで使えなくなってしまったんです。8000円のモーターがですよ!アレはヒドかったなぁ。実に悲運のモーターです。
スリッパークラッチ機構を含め、ギヤボックス回りはそのままそっくり、同年後半に発売された ダイナストームや翌93年発売のダイナブラスターに利用されたことが分かります。
リヤアップライトもそのまんまダイナストーム。
リヤエンドの処理は中途半端です。前後左右を引っくり返して2WD用ユニットと兼用、というコンセプトなので。 ダイナストームではこの面がアッパーデッキと締結される側になるわけです。 ダンパーマウントの形状もそのまんまダイナストームになっちゃったんじゃないかな?という感じです。
たまにはこういう試作マシンをチェックするのも面白いですね。

この後、タミヤの四駆RCシャシーは412、413と進化を続け、あの「TRF414X」が誕生したわけです。そういう意味からも、タミヤの実戦プロトモデルの礎を築いたTRF411Xの存在は、タミヤのRC史上でも欠くことのできないサイドストーリーであるはずです。 そのマシンを直接拝めて、こうして披露する機会に恵まれたことは大変ありがたいことだと思います。この場をお借りして411Xの展示を実施されたタミヤ関係者の皆様にお礼申し上げます。


このページは、タミヤRCカー専門サイト「RC_Car_Trend」が提供しています